その後のいっち
いっちはモコさんの本のおかげで自分が自閉症スペクトラムだと納得したようでした。
その後の診察の時にいっちの発言等(自分で図書館に行き自閉症を調べたうえで、自分は障害者ではないと言ったこと)
を医師に伝えました。
先生は「本人の気持ちを尊重して、次回(2年後)の手帳更新はやめてもいいかもしれませんね」ということでした。
その後1年ほど経って、本人に次回の更新をしたいかどうか尋ねてみました。
「手帳を持っていてどうだった?今度はどうしようか?最近できることがたくさん増えて困っていることがないから(まだ少々あるけれども)、更新してもしなくてもあなたの好きにしていいよ」
いっちの言葉は、
「療育行きたいし、美術館とか行けるから更新しようかな」
で、前向きな気持ちを持っているようなので、更新しました。
かんしゃくや、パニックを起こしやすい長男にっちへの告知
にっちに自閉症のことを伝えることは怖かったです。
当時は今よりももっともっと些細なことで「殴る蹴る壊す暴れる」ことが多かったにっち。
被害妄想も強く、なんてことない言葉もすべて否定的に捉えて怒る子どもでした。
「あなたは自閉症だ」と伝える前に我々が予想した、にっちの反応。
さぁ暴れるにっちに、殴らせない殴られない、そんな覚悟をして
切り出します。
「あのね、にっちは自閉症という変わったところがあるんだ。
にっちは他の人より心が大きくて、まだ体が小さい今は持て余してしまっているみたい。
だから、一回、嫌だなとか、怖いなとか思ってしまうと、その気持ちが大きくなりすぎて体が困ってしまう。
けど、その分、嬉しいとか、面白いとかのいい気持ちも沢山持てるよ」
イメージとしてその時に書いたイラスト↓
さて、にっちの反応は・・・
にっち「・・・・・・」
にっちは黙って聞いていました。
次の瞬間
姉もそうだと聞いているためか、自閉症だと言われることに抵抗はないようでした。
通級指導教室へ新たに行くことになった時も
「今度にっちは通級に行くんだ」とか「にっちはジヘーショーだから」と祖父母に話している様子です。
先日「自閉症って言われるの嫌じゃないの?」と聞いたら
「にっちはすぐ怒っちゃうけど、それは人それぞれの個性だし、
手帳は色々お得だし。みんなにも聞かれないし全然平気」と前向きにとらえているようでした。
まとめ〇親は「なんてことない」と、どっしり構えていたほうがいい〇
冒頭でもお話したとおり、自閉症や発達障害の告知をいつ行うかについては、議論があります。
ただ、知的障害を伴わない場合や、療育や通級を利用する場合などは、
本人たち自身が「周りと違うこと」を薄々気づいています。
その際に、説明しないまま生活することは将来的なリスクになると考えました。
そのため、わが家では小学校低学年時点で
「障害に対する自分たち親の理解を噛み砕いて伝える」形で行いました。
これは医師として思うことですが、
臨床では「エビデンスの高い研究結果から、効率がよく成功の可能性が高い選択肢を分かっていても、
目の前の症例に対しその選択肢を選んで本当に正解か」は分かりません。
簡単に言うと
その治療方法が成功する可能性が高いという実験結果があっても、
その人に効くかどうか分からない、ということです。
ただ、「発達障害だろうがなんだろうが関係ないくらい、3人の子どもたちが愛しい」
ことには自信があるので、未熟なちっち・はっははそこを頼りにやっていこうと思います。
このように、とにかく明るく「あなたは大丈夫だと私たち両親は思っている」と伝えました。
いつだって親は「なんてことない」という風に、どっしり構えていたほうがいいというのは
私たちの両親からのアドバイスでもあります。
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