夜尿症を解説

夜尿

日本泌尿器科学会の定義は、

5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」です。簡単に言うと、「5歳以上でおねしょが月に一度以上ある場合」です。

あまり世間話の話題にならないので、少ないと思われがちですが、1年生、7歳の場合、10人に1人は夜尿症です。親の育て方や、子どもの努力不足ではありません。ほとんどは膀胱の働きや、夜の尿量が多いことが問題です。

また、自閉症児の16~75%に夜尿症が見られるという報告もあります。

うちの自閉症の長男の場合、おねしょは毎日。

しかも、一晩でだいたい、2回。多いときには3回のおねしょがありました。

さらに、おしっこで起きない割に、布団が冷たいことは感じているようで、

毎夜おねしょをしては、濡れていないエリアに転がっていき、

さらにつぎのおねしょをするという状態です。

ひどいときには、敷布団3枚、毛布2枚を翌朝洗ったこともあります。

匂いのしみついた布団を毎日洗うことは、精神的に辛いものがあります。

イライラして「どうしてできないの?」と何度言いかけたことか。

そのうち治ると思ってしまい、夜尿症の外来を探し受診するのは遅くなりがちです。

うちも長男が、初めて泌尿器科の夜尿外来を受診することになったのは、小2の秋でした。

夜尿症の原因3つ

夜尿症の原因① 睡眠から目覚める能力が未熟

夜尿は主にノンレム睡眠の時に起こります。

夜尿症の子どもは、睡眠が浅く質が悪いのに、起こしても覚醒しにくい特徴があります。一種の睡眠障害です。

夜尿症の原因② 膀胱に尿をためておく能力が未熟

膀胱の容量の目安は、

25×(年齢+2)ml

です。例えば7歳ならば225mlですね。 

これ以上の尿が作られると、耐えきれず排出されます。

夜尿症の原因③ 夜に作る尿が多い

6~9歳で一晩に200ml以上

10歳以降では一晩に250ml以上

は多尿です。

このような体のしくみが1つ、あるいは複数関与することで夜尿(おねしょ)という結果になります。また、発達の遅れや遺伝も影響します。両親のどちらかが幼いころ夜尿であれば、5~7倍、両親どちらもが夜尿だった場合、11倍夜尿になりやすいという報告があります。

一度夜尿が治ったのに(6か月以上)また始まった場合は、ストレスなどの精神的な原因が考えられます。

おねしょの相談は何か?いつ?

おねしょがなかなか治らない、その時の受診先は小児科もしくは泌尿器科です。一部の病院には、子どもの夜尿症外来があります。夜尿症の専門家は少なく、大学病院などの大きな病院が多いです。

受診の推奨時期は小学校入学後。こういった急を要さない受診は夏休みや冬休み中は込み合います。学校を休んでもいいならばいいのですが、学校を欠席させたくない場合は早めに夏休み冬休みの予約を取ることをおすすめします。

受診するにあたって、かかりつけの小児科医に状況を話し、紹介状を書いてもらいましょう。

夜尿症の診察までの流れ

①かかりつけの小児科で、おねしょが治らないことを相談

②小児科で夜尿外来への紹介状を書いてもらい、予約を取ってもらう

③大学病院の夜尿外来(泌尿器科)を受診

④検査、観察

・エコー検査

排尿後の膀胱に尿が残っているかどうかを確認(膀胱の機能検査)

・1日のうち、おしっこの回数と量を外来で渡された尿用の計量カップで測って記録する。(1週間~1か月程度)(排尿回数、パターンの把握)

・尿検査(糖尿病や腎臓の疾患がないか確認する)

自閉スペクトラム症児は、先の見通しが立つと安心できるので、事前にこのような痛くない検査をすることを伝えておくといいでしょう。

まとめ

「もう少し大きくなって治らなかったら、受診しよう」とは思うものの、「では、実際にいつ受診するか?」が決めづらい夜尿症。

夜尿外来を担当する先生にも言われたアドバイスは、

・他の病気と違い「早期発見・早期治療」とはなりにくいので焦らなくていい事

・一つの目安は「トイレの存在や必要性を理解した上で、昼にオムツを外せたかどうか?」。昼に外せない子=器質的疾患ではないものの、やはり昼にも我慢しづらい子は膀胱の機能や、尿の濃縮能の検査を早めにしたいので、気になったら受診をして欲しい

とのことでした。

実際に、自分たち自身も少し遅めの受診になってしまいました。

上の説明の通り、受診して調べる段階では痛みの伴う検査をする可能性は少ないので、「気になった時点で、一度相談」で良かったかと反省しています。

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